相馬沖で9月に解禁された底引き網漁業で、スルメイカが異例の大漁となっている。水揚げ量は昨年の1・8倍ほどのペースだが、豊漁の理由は分かっていない。漁港は活気づいているものの、資源管理の面から相馬双葉漁協(福島県相馬市)は漁獲規制を始めた。(薬袋大輝)
17日昼、相馬市の松川浦漁港で、漁師の男性(66)が漁船「賀宝丸」(19トン)から水揚げを始めると、コンテナは瞬く間に白とピンクに輝くスルメイカでいっぱいになった。
男性は「こんなに網にイカが入るのは初めて。カレイなど不漁の魚が多い分、助かるよ」と破顔した。
同市の卸業者の男性(42)も「スルメイカは食卓の定番で、多く仕入れられるのはうれしい。成長してはらわたがもっと太くなってくればなお良い」と話した。
自主的に漁獲上限を設定
相双漁協では23隻の底引き網船が出漁しており、9月の第2週には水揚げが1日40トンを超える日も出た。
県水産海洋研究センター(いわき市)によると、相双漁協の10日までの水揚げ量は約84トンで、昨年同期(約48トン)を75%上回った。
1キロあたりの価格(4~10日)は239円と昨年同期の2分の1程度になっている。
水産庁は「9月以降、三陸沖など各地で良好な水揚げが確認されている。近年、異例の漁獲量だ」とする。
同庁は今年度、沖合底引き網漁業によるスルメイカの漁獲上限を全国で2600トンと定め、全国底曳(そこびき)網漁業連合会が地域ごとに目安を示している。
あくまで目安だが、相双漁協は想定以上の水揚げを受けて、17日から1回の漁で1隻2トンまでとする漁獲上限を自主的に設けた。
スルメイカは水深160~200メートルに生息し、相馬沖では、定置網漁ではなく、底引き網で他の魚と一緒に取れる。大漁の理由は何か。漁師の一人は「分からん。海に聞いてけろ」と話した。
福島県水産資源研究所(相馬市)の神山享一副所長も「海水温や海流の変化、エサとなる小魚の状態など様々な要因が考えられるが、詳しい理由は不明。
スルメイカは広範囲に移動するので、今後の漁場の変化に注目したい」と語った。水産庁は「いつまで良好な水揚げが続くかは不明だ」とする。
ただ、地元では豊漁に対して歓迎ムードだ。「浜の駅松川浦」(相馬市尾浜)では、昨年はほとんど扱いがなかったスルメイカが今季は店内にずらりと並ぶ。
18日は、約300パック(3~4杯で480円)が昼には完売した。店長の山田豊さん(71)は「サンマと並ぶ一番人気になっている。このまま定番商品になってほしい」と期待した。
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Source: 鈴木さん速報